ビジネスシーンでも欠かせない「大変恐縮ですが」という表現。正しい意味や使い方をご存知ですか?本記事では間違った使い方をしないために、その意味と様々な表現方法から「大変恐縮ですが」の類語に至るまで、例文も交えてご紹介していきます。
「大変恐縮ですが」の意味って?
ビジネスシーンはもちろん、日常会話でも使うことのある「大変恐縮ですが」という表現は本来「身も縮まるほどに恐れ入る」という意味があります。そこに相手から受けた厚意を申し訳なく感じるということと感謝の意を込めて現在の表現になりました。では何故「大変恐縮ですが」という表現が様々な場面で使われるようになったのでしょうか。
「恐縮です」には4つの意味がある
そもそも「恐縮です」という表現には大まかに4つの意味があるとされています。それは「感謝」、「謝罪」、「謙虚」、「羞恥」の4つです。恐縮ですは、この全てを1つの表現でまかなえるため非常に万能な言葉といえます。「大変恐縮ですが」もその表現の中のひとつというわけです。
「大変恐縮ですが」どんな場面で使ってる?
「大変恐縮ですが」と聞いた際、どのような場面での使い方を思い浮かべますか?基本的にはビジネス上の敬語だと思いますが、日常会話でも全く使用しないという訳ではありません。それでは具体的な「大変恐縮ですが」を使う場面を確認していきましょう。
「大変恐縮です」で感謝を伝える
感謝を伝えるために「大変恐縮です」と表現する使い方は、相手から厚意を受けた際に用いるのが一般的です。単純に感謝やありがとうございますという意味だけではなく、身に余る高評価と感じていることを「お褒めにあずかり大変恐縮です」等のように表現することで謙遜していることも伝えることができます。
「大変恐縮ですが」で依頼をしたり了承を得る
冒頭に「大変恐縮ですが」と用いる場合、何かを依頼したい時や何かしらの了承を得たい場合に使われることが多いようです。「お忙しいところ大変恐縮ですが」「大変恐縮ですが、本日は不在のため」等、冒頭に挟むことで謝罪や相手への配慮を含めて伝えることができます。
「大変恐縮ですが」の用途は他にもある!
前述で紹介した感謝や謙遜、謝罪表現だけでなく指摘や断りを入れたい場合にも用いることができます。例えば「大変恐縮ですが、その条件では対応致しかねます」「大変恐縮ですが、明日は不参加でお願いします」のように間違いを指摘したり、辞退や断りを入れる時も役立つ表現です。
印象が悪くなる「大変恐縮ですが」のNG例
「大変恐縮ですが」は一見、低姿勢な敬語なので悪い印象に繋がることは少ないような気がします。ですが、どんな敬語も使い方を間違えれば過剰な表現や、当てつけのように捉えられる可能性があります。そうならないためにも間違いがちな表現や、気をつけたい点について確認しましょう。
「恐縮に存じます」は相手に失礼!
誤用されがちな表現で一番多いものが「大変恐縮に存じますが…」という使い方です。「存じます」は「思います」になりますので謝罪や謙遜を含む恐縮に「思います」と続けると、相手に失礼な表現になってしまいます。「存じます」を使うことによってより丁寧になると思われがちですが、相手に使うのもおかしい表現なので注意してください。
「申し訳ございません」と混同しない!
「大変恐縮ですが」という言葉には、既に感謝や謝罪の意味が含まれています。したがってその言葉の後に「申し訳ございません」や「ありがとうございます」と付けてしまうと、同じ意味の表現を二重に伝えていることになりますので重複しないように注意しましょう。
「恐縮ですが」は無理に多用しないこと
フォーマルな表現や、へりくだった表現をしたいがために「大変恐縮ですが」と使いがちですが、多用するとあまり印象は良くなりません。基本的には書き言葉ということもありますので、最後の締めや冒頭に1回程度使うのがスマートに見えるでしょう。
正しい「大変恐縮ですが」の使い方
「大変恐縮ですが」は気軽に使いやすい敬語ではありますが、前述で解説したように誤用すると相手を不快にさせてしまいます。では、いくつかの例文と併せてビジネスシーンでも使う「大変恐縮ですが」の正しい使い方を、次の項目で確認していきましょう。
「大変恐縮ですが」の例文
依頼や感謝を伝えるときの例文
それでは早速「大変恐縮ですが」を使ったシーン別の例文をいくつか紹介していきます。まずは依頼や感謝を伝える際の例文です。「大変恐縮ですが、こちらに署名と捺印をお願い致します」「身に余る評価を賜り、大変恐縮でございます」等。依頼の場合は冒頭に、感謝の場合は文末に用いることが多いです。
何かを辞退するときの例文
何かを辞退したいときに用いる「大変恐縮ですが」の例文は次の通りです。「大変恐縮ですが、今回の件は辞退させて頂きます」「大変恐縮ではございますが、明日の会議は不参加でお願いします」このように辞退するときの使い方は申し訳ございませんが、という前置きを言い換える形になります。
休暇や断りを入れるときの例文
こちらはビジネスシーンでよく使う表現です。「私事で大変恐縮ですが、〇〇日から3日間ほど休暇を取らせて頂きます」「大変恐縮ですが、田中が休暇を頂いているため私が担当致します」「大変恐縮ですが、該当の会社とは無関係でございます」等、訂正や謝罪の意味を込めて使うことができます。
ビジネスメールではどう使う?
前述でいくつか例文をご紹介しましたが「大変恐縮ですが」は、ビジネスメールで使用する機会も多い表現です。ビジネスメールはより丁寧な敬語が求められますので、間違ったニュアンスで伝わらないように例文を確認していきましょう。
ビジネスメールでよく使う「お忙しいところ」
「大変恐縮ですが」を使うビジネスメールで最も多いとも言えるのが「お忙しいところ」とのセットです。例文としては「お忙しいところ大変恐縮ですが、ご返信頂けますと幸いです」「お忙しい中、大変恐縮ですが、ご検討の程よろしくお願い申し上げます」等で忙しいのに申し訳ないという気持ちを表現できます。
「差し出がましいお願い」を使う場合
頻繁に使うことはないかもしれませんが、知っておいて損のない表現です。「差し出がましいお願いで大変恐縮ですが、ご了承の程お願い申し上げます」のように「差し出がましい」というのは相手に対し、余計なことだと思いますがとへりくだった表現をしたい時に用いります。
ビジネスで使う「大変恐縮ですが」のポイント
ビジネスメールで「大変恐縮ですが」と使う場合、ほとんどが何かしらのお願いをしたい時に用いります。依頼をする上で相手を気遣うために「大変恐縮ですが」と挟みます。より丁寧な使い方をしたい場合は「大変恐縮ではございますが」と言い換えると良いでしょう。
「恐縮です」と「恐縮ですが」の違いは?
これまで「恐縮ですが」の使い方について多く紹介しましたが「恐縮です」との違いはあるのでしょうか。そもそも「恐縮」の意味は同じです。違いがある点というと「恐縮ですが」は謝罪や申し訳ない時に「恐縮です」は感謝を伝える際に多く使われる印象があります。使い方によって与える印象が変わるので、使用する時は注意しましょう。
「大変恐縮ですが」の類語は?
「大変恐縮ですが」を使う上で理解しておきたいものが類語です。ひとつの敬語にも実はたくさんの類語があるもので「大変恐縮ですが」も例外ではありません。類語を使用することによって、伝え方のバリエーションや表現の違いも確認できますので「大変恐縮ですが」と併せて知っておきましょう。
「大変恐縮ですが」と「恐れ入りますが」
「大変恐縮ですが」との違いは?
最初の類語は「恐れ入りますが」です。「大変恐縮ですが」と意味は同じですが使う際のポイントとして、メールや文面上では「大変恐縮ですが」口頭では「恐れ入りますが」と表現するほうが良いでしょう。口頭で伝える場合「恐れ入りますが」に言い換えることで印象が柔らかくなるので、堅苦しい表現を避けたい時にもおすすめです。
「恐れ入りますが」を使うときの注意
「恐れ入りますが」は様々な意味を含めて伝えられる便利な敬語ですが、同じ場面で使われがちな「申し訳ございませんが」と混同してしまうと失礼にあたる可能性があります。「恐れ入りますが」は相手の行動に対する表現なので、自分の非について謝罪したい場合は「申し訳ございませんが」と表現するようにしましょう。
「恐縮至極」と「恐悦至極」
「恐縮です」という言葉を更に強調した類語が「恐縮至極」と「恐悦至極」です。敬語としてあまり使用頻度は高くないかもしれませんが、知っておくとビジネス上のやりとり等で役立ちます。あまり多用すると良い印象を持たれませんので、敬意を払いたい場合でも使用する回数に気をつけてください。
「恐縮至極」の例文
「恐縮至極」の至極は「極めて」や「この上ない、これ以上ない」という意味があり「恐縮至極」は「この上なく恐れ入ること、申し訳ないこと」という意味で使われます。例文としては「私事にて大変、恐縮至極に存じます」「大変豪華な品を頂き、恐縮至極に存じます」等、恐縮よりも更にへりくだった表現をする際に使用できます。
「恐悦至極」の例文
「恐悦至極」には「この上ない喜び」や「有り難き幸せ」といった意味が含まれます。目上の方に感謝の気持ちを伝える際に用いられることが多いです。例文としては「お褒めの言葉を頂き、恐悦至極に存じます」「身に余るお言葉に恐悦至極でございます」等です。普通の感謝だけでなく非常に喜んでいることを伝えたい時に役立つ表現です。
「畏れ多い」を使用した類語
「畏れ多い」の意味は?
「大変恐縮ですが」の類語として最後にご紹介するのが「畏れ多い」という表現です。「畏れ多い」は目上の人に対し失礼にあたるので申し訳ない、自分にはもったいない等の意味があり「恐縮です」よりも更に謙遜しているように聞こえるのが特徴です。では次に「畏れ多い」を使用した例文をご紹介していきます。
「畏れ多い」の例文
「畏れ多い」と表現する際は、ほとんどが目上の人に対して使われます。「大変畏れ多いお話ですが、謹んでお請け致します」のような使い方や、褒められた場合に「大変畏れ多いことでございます」と返すだけでも相手からの言葉を素直に受け取っていることが伝わります。
ご紹介してきた通り「大変恐縮ですが」の類語だけでも様々な表現があることがわかります。全ての類語を一度に使う必要はありませんが、言葉の引き出しが多いに越したことはありません。実はご紹介した類語だけでなく「大変恐縮ですが」に通じる表現はまだありますので、次の項目で併せてチェックしてみてください。
類語だけじゃない「恐縮ですが」に通じる表現
「大変恐縮ですが」という表現には類語だけでなく、似たような使い回しをする敬語があります。メール上等で何度も恐縮ですがと使うと大袈裟な伝わり方になる可能性もあるので、類似した言い回しを覚えて活用できるようにしていきましょう。
「お手数ですが」と「痛み入ります」
まずご紹介する類似した表現は「お手数ですが」と「痛み入りますが」です。いづれも感謝や遠慮を表す敬語で、ビジネスシーンだけでなく日常会話でも使用することのできる便利な表現です。例文を交えて解説していきますので、言葉のバリエーションを増やすためにも確認しておきましょう。
「お手数ですが」の例文
「お手数ですが」は相手に何かを依頼する際に使う表現です。例文としては「大変お手数ですが、何卒よろしくお願い致します」や「お手数をおかけし、申し訳ございません」等。比較的、馴染み深い表現だと思われます。ビジネスシーンやサービス業等でも使用頻度の高い敬語ですので、意味をしっかりと理解して使っていきましょう。
「痛み入ります」の意味とは
「痛み入ります」はあまり聞き馴染みがない方も多いかもしれません。意味としては「心が痛むほどに感謝している」という意味合いで使われています。つまりは謙遜からくる恐縮している様子を表しているので、感謝以外の用途では使われません。目上の人に感謝を伝える際に使用する表現なのです。
「痛み入ります」の例文
「痛み入ります」は感謝を伝える表現です。例文としては「お心遣い頂き、誠に痛み入ります」「わざわざご足労を頂いて、痛み入る思いです」等。相手から受けた厚意に対して感謝を表現したい時に用いられます。ただ「そのアドバイス痛み入るよ」のような表現だと嫌味として伝わってしまいますので、使い方には十分気をつけてください。
「大変恐縮ですが」を英語表現すると
「大変恐縮ですが」という言葉だけを聞くと、日本語独特の表現のように感じますが英語でも伝えることはできます。英語表現をする場合、感謝を伝えるのか申し訳なさを伝えるのかで表現方法が異なります。では、英語で「大変恐縮ですが」と表すにはどう表現するのが正しいのでしょうか。
「大変恐縮ですが」英語表現の例文
「Thank you」で伝える
「恐縮です」という表現を感謝で表したい場合は、そのまま「Thank you」で伝わります。他にはIt is very kind good of youを挟むことによって、相手に感謝していることを表現できます。他にはI am really gratefulで恐縮ですと表すこともできます。英語表現の場合シンプルに感謝を伝える方が好印象に繋がるのです。
「I am afraid」で伝える
I am afraidは「大変恐縮です」で申し訳ないという気持ちを表現する時に使えます。I’m afraid I can’t help you(お役に立てず大変恐縮です)や、I am very sorry to bother you(ご迷惑をおかけし大変恐縮です)等。sorryを使うと、より丁寧に謝罪したい時に役立ちます。
「I am terribly sorry but,」で伝える
I am terribly sorry butは、何かを依頼したい時に使える表現です。例えばI’m terribly sorry to disrupt you when you’re busy, but please give us your cooperation(お忙しいところ大変恐縮ですが、よろしくお願いします)等。I am terribly sorry butだけで「大変恐縮ですが」と表現することができます。
「Would you be so kind as to」でもOK!
「大変恐縮ですが」と依頼をしたい時は、Would you be so kind as toで伝えることもできます。Would you be so kind as to request your assistance?(大変恐縮ですが、手伝って頂けませんか)このように、より丁寧に「大変恐縮ですが」と伝えたい場合に用いると良いでしょう。
「大変恐縮ですが」を上手に使おう!
「大変恐縮ですが」という表現は、相手に感謝や依頼、了承を得たい時に使えるクッション言葉です。使い方を間違えなければ、相手とのコミュニケーションが円滑になります。ビジネスシーンでは欠かせない敬語ですので、しっかりと意味を把握してから会話に取り入れ正しい敬語表現をしていきましょう。